抄録
症例は29歳,女性.左乳房乳頭部の腫瘤と血性分泌を自覚し,当科を受診.左乳頭部に2cm大の腫瘤が認められ,生検の結果,乳頭部腺腫の診断となった.生検後に妊娠6週であることが判明したが,良性腫瘍であり出産してから切除の方針となった.出産までは6週毎に超音波により大きさを計測し経過観察した.妊娠中は増大を認めず,妊娠41週で出産し1カ月後,腫瘤摘出術を施行した.
乳頭部腺腫は臨床像がPaget病に類似し,組織学的にも浸潤癌と誤認される可能性がある疾患である.40歳台に好発するが,出産が多い30歳前後での発生も多数報告されている.乳頭部の腫瘤を認めた場合は,妊娠中であっても,本疾患の可能性を考慮し過剰な治療を行わないように対応することが重要と考えられた.