抄録
症例は78歳,女性.胸焼け・嚥下時つかえ感を主訴に受診.上部消化管内視鏡では,切歯25-29cm右壁に大きな粘膜下腫瘍を認めた.胸部造影CTでは,気管分岐直下の後縦隔に食道内腔を右側から閉塞させる44mm大の腫瘤を認めた.食道粘膜下腫瘍と診断し手術を実施した.右開胸をおくと,奇静脈弓尾側に食道右壁から連続する腫瘍を認めた.腫瘍を核出すると,食道筋層に長軸方向55mm,1/2周性の欠損を生じた.右第4-5肋間から有茎の肋間筋弁を作成,筋層欠損部を被覆し手術を終了した.検体は40mmの淡黄色充実性腫瘍であり,病理にて食道神経鞘腫と診断した.術後経過は良好であり,通過障害は完治した.腫瘍核出後の食道壁欠損に対し,肋間筋弁被覆をおいて食道切除を回避した報告は散見される.本症例の55mm大の筋層欠損はその中で最も大きく,本術式の適応を考えるうえで貴重な経験と考えられた.