日本臨床外科学会雑誌
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症例
審査胸腔鏡による術前ステージングを行った局所進行下部食道癌の1例
臼井 弘明鈴木 正彦浅羽 雄太郎三宅 隆史鶴岡 琢也水上 泰延
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2017 年 78 巻 3 号 p. 489-493

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抄録

症例は70代,女性.主訴はつかえ感.上部消化管検査で下部食道の扁平上皮癌と診断した.CTでは胸部下部食道に腫瘤を形成する5cm大の腫瘤で,左胸腔に突出し胸膜浸潤を疑った.治療方針決定のため,治療前審査胸腔鏡を行った.検査所見では食道癌に相当する壁側胸膜には癌浸潤を認めなかったが,横隔膜の一部に白色変化と胸膜肥厚を認めた.胸膜播種の可能性を否定するため,同部位の壁側胸膜と胸水の採取を行った.病理検査では双方に悪性所見を認めず,cT3N0M0と診断した.根治切除可能と判断し,術前化学療法(FP:CDDP 80mg/m2×1日+5-FU 800mg/m2×5日)を2回行い,効果判定はPRであった.術前化学療法終了3週後,右開胸開腹食道亜全摘2領域郭清を行った.最終病理診断はSCCypT3N0M0で根治的治療を行うことができた.術後20カ月経過した現在,無再発生存中である.

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