日本臨床外科学会雑誌
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症例
腫瘤切除後に全身症状が改善した後腹膜単中心性Castleman病の1例
橋田 真輔大橋 龍一郎中村 聡子大谷 弘樹田中 則光矢野 匡亮
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1122-1126

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抄録

症例は36歳の女性.スクリーニング目的のCT検査にて,左腎門部近傍に8.5cm大の腫瘤を発見され,当院を紹介された.貧血,軽度の炎症,脾腫,腹水を伴っていた.腫瘍周辺には複数のリンパ節腫大を認めた.CTガイド下針生検の結果,Castleman病(CD)が疑われたが確定診断には至らず,診断と治療目的に開腹腫瘤摘出術を行った.腫瘍周辺には高度の線維化が見られた.病理組織診断結果はHyaline vascular型のCDであった.結節周囲の3個のリンパ節においてもCD様の所見がみられたが,1領域に限局していたため単中心性CDと診断した.術後10カ月のCTでは腹水は消失し,貧血と脾腫は改善した.単中心性のCDにおいても全身症状を呈することがあり,手術により症状が改善する可能性が示唆された1例であった.

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