2017 年 78 巻 6 号 p. 1415-1420
症例は53歳の男性.急性発症の右側腹部痛を主訴に当院を受診し,腹部CTにて右副腎腫瘍破裂が指摘された.内分泌学的精査ではコルチゾール産生腫瘍が疑われ,入院13日目に開腹での右副腎摘出術が施行された.術後病理検査で副腎皮質癌が診断された.この時点で明らかな転移巣は認められず,術後補助療法として経口ミトタン内服と腫瘍床への放射線外照射を行った.術後24カ月が経過して転移・再発を認めない.副腎皮質癌の自然破裂は稀であり,完全切除後も転移・再発の危険性が高いと考えられ,術後早期の集学的治療を追加することが望まれる.本症の経過に文献的考察を加えて報告する.