抄録
十二指腸潰瘍穿孔による後腹膜膿瘍は比較的稀な疾患で,治療に難渋する.今回,経十二指腸的膿瘍ドレナージで手術を回避しえた本疾患例を経験した.症例は64歳の男性で,右側腹部痛を主訴に受診した.エコー・CTで右後腹膜腔に70mm大の膿瘍を認め,上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚後壁に潰瘍と十二指腸内への膿汁流出を認めた.十二指腸潰瘍穿孔による後腹膜膿瘍と診断し保存的治療を開始したが,第7病日に炎症の波及による右水腎をきたしたため内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブ(以下,ENBDT)を用いた内視鏡的膿瘍ドレナージ(以下,本法)を施行した.自他覚的所見の改善が得られ,膿瘍腔の縮小,水腎の改善を確認し,第16病日にENBDTを抜去,第21病日に退院した.退院後10カ月の現在も再燃なく経過している.本法は低侵襲に効果的なドレナージが得られ,有用である.