日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性小腸穿孔による汎発性腹膜炎後に発生した鼠径ヘルニア嚢膿瘍の1例
出井 秀幸神谷 忠宏平松 和洋柴田 佳久吉原 基加藤 岳人
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2018 年 79 巻 10 号 p. 2078-2081

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抄録
症例は60歳,男性.10年前から左鼠径ヘルニアを自覚していた.半年前に十二指腸穿孔による汎発性腹膜炎に対して大網充填術を施行した既往があった.腹痛で受診し,腹部全体に反跳痛と筋性防御を認め,腹部CT検査でfree airと腹腔内液体貯留があった.汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を行った.小腸に約15mm大の穿孔部を認め,小腸切除を施行した.術後に微熱と炎症反応高値が継続し,術後6日目のCT検査で左陰嚢内に径55mmの膿瘍を認めた.穿刺培養で腸球菌が検出され,抗菌薬治療を行った.解熱し炎症反応は正常化したが,陰嚢の腫大と疼痛の改善がないため,術後25日目にヘルニア嚢膿瘍切除・高位結紮術を施行した.初回手術後31日目に退院し,ヘルニア無再発で2年経過中である.半年前の十二指腸穿孔に対する手術後にヘルニア嚢感染を発症せず,小腸穿孔に対する手術後に鼠径ヘルニア嚢膿瘍を認めた1例を経験したため報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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