抄録
症例は62歳の女性,20年来の原発性アミロイドーシスで近医へ通院中であった.突然の右下腹部痛で救急搬送された.腹部は板状硬で,CT所見から下部消化管穿孔を疑い緊急手術を行った.手術所見は上行結腸に約4cm大の穿孔部位があり,周囲に限局した便汁汚染を認めた.回腸の一部が穿孔部近傍に強固に癒着していたため合併切除し,穿孔腸管を含む右半結腸切除を行った.病理組織学的所見では上行結腸に4カ所の穿孔部があり,間質および血管周囲にアミロイド蛋白の沈着を認め,免疫染色からAL型アミロイドーシスと診断した.術直後のseptic shockに対しエンドトキシン吸着療法等の集学的治療を要したが,術後15日目に独歩退院した.
消化管アミロイドーシスによる穿孔では免疫や臓器機能低下状態が併存していることが多く,周術期死亡率が高い.腸管粘膜の虚血や脆弱性のために縫合不全率が高いとされ,計画的な術式選択が必要である.