日本臨床外科学会雑誌
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症例
術中ICG蛍光法による血流評価が有用であった非閉塞性腸管虚血症の1例
佐藤 圭樅山 将士小澤 真由美石部 敦士秋山 浩利遠藤 格
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2018 年 79 巻 5 号 p. 1016-1021

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抄録

症例は81歳の女性.腹痛を主訴に救急要請し,当院に搬送された.腹部造影CTで腸管気腫像と腹水貯留を認め,非閉塞性腸管虚血症(以下,NOMI)を疑い緊急手術を施行した.小腸は暗赤色に色調変化していた.Indocyanine green(以下,ICG)蛍光法による腸管血流評価では,腸間膜血流は維持されていたが,色調変化した部位の腸管壁内の血流が欠損していた.NOMIによる腸管壊死と診断し,腸管切除を行った.一期的な吻合は避け,翌日2nd look operationを行い,ICG蛍光法により残存小腸に虚血がないことを確認して小腸の吻合を行った.術後17日目に自宅退院した.NOMIの緊急手術時にICG蛍光法を用いることで,正確な壊死範囲の診断と再手術時の虚血部位の有無が評価可能であった.NOMIの治療方針決定におけるICG蛍光法の有用性に関する報告は少ないため,文献的考察を加え報告する.

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