2018 年 79 巻 5 号 p. 1032-1037
症例は55歳,男性.繰り返す腸閉塞にて当院へ入院した.PET-CT検査を含む精査では悪性疾患を疑う所見に乏しく,腸閉塞の原因検索および根治術目的に腹腔鏡下に手術を施行した.手術では,回腸末端より約50cmの回腸にMeckel憩室様の突出腫瘤および腹膜結節を認め,Meckel憩室癌・腹膜播種と診断し,回腸部分切除術および腹膜腫瘤生検を施行した.病理組織検査では高~中分化腺癌を検出したが,明らかな迷入組織は認めなかった.術後は化学療法を施行するも,術後約1年4カ月で癌性腹膜炎を併発し死亡した.Meckel憩室癌は画像診断が困難であり,進行癌の状態で発見されることが多く予後不良である.今回,診断に苦慮し,腹腔鏡下に診断しえたMeckel憩室癌の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.