抄録
症例は63歳,女性.S状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除,D3郭清を施行した.術後7日目にドレーン抜去した.術後8日目に腹痛と嘔吐を認め,理学所見上ドレーンを留置していた部位とは異なる右下腹部の12mmポート創の皮下に膨隆と圧痛を認め,ポートサイトヘルニア嵌頓を疑い腹部CTを施行したところ,皮下に小腸の嵌頓した像を認めたため,即日緊急手術となった.膨隆部直上で切開すると外腹斜筋腱膜はきちんと縫合されていたが,その筋膜下で小腸が嵌頓していた.腸管壊死も疑われたため,絞扼小腸を切除,吻合し,腹膜から筋層の全層にてヘルニア門を閉鎖し,手術終了とした.今回われわれは筋膜縫合をしていたが,その筋膜下に小腸の嵌頓を認めたポートサイトヘルニアの1例を経験した.ポートサイトの閉鎖の際には,ときに筋膜閉鎖のみでは不十分で,腹膜も含めた全層縫合が必要であると考えられる.