日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸切除術を行った悪性黒色腫多発小腸転移による消化管出血の1例
赤嶺 健吏長濱 正吉知念 順樹金城 泉宮里 浩友利 寛文吉長 正富新垣 京子
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2019 年 80 巻 12 号 p. 2213-2220

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抄録

悪性黒色腫の多発小腸転移による消化管出血に対する治療法は確立していない.今回われわれは,同疾患に対し小腸切除術を行い,速やかに後治療に移行しえた症例を経験したので報告する.症例は70歳の男性で,動悸とふらつきの精査目的の腹部造影CTで,小腸多発腫瘤と腹腔内リンパ節腫脹,胆嚢胆石症を認めた.診断も兼ね,腹腔鏡下小腸間膜リンパ節切除および腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.同手術の際,背部に多発する黒色結節を認めた.切除したリンパ節は悪性黒色腫で,悪性黒色腫の多発皮膚転移・多発小腸転移と診断された.その後も頻回に輸血が必要な状態が持続したため小腸腫瘍からの出血を確認し,消化管出血の制御目的に小腸切除術を行った.術後,貧血は改善し,がん薬物療法が可能となった.悪性黒色腫の多発小腸転移による消化管出血の制御において,小腸切除術が有用であった.

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© 2019 日本臨床外科学会
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