日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡手術を施行した腸重積で発症したRapunzel症候群の1例
伊良部 真一郎安冨 淳宇田川 郁夫
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キーワード: 毛髪胃石, 腸重積, 腹腔鏡
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2019 年 80 巻 4 号 p. 745-749

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抄録

毛髪胃石は,異食症などにより経口摂取された毛髪が胃内で固形化したものであり,本邦では比較的稀な疾患である.中でもRapunzel症候群は,巨大な毛髪胃石の一部が索状に伸び小腸まで達したもので,極めて稀な病態とされている.今回われわれは,Rapunzel症候群による小腸内毛髪塊が先進部となり腸重積をきたした症例を経験したので報告する.症例は9歳,女児.食後の腹痛を主訴に救急受診し,腸重積の疑いでSingle Incision Laparoscopic Surgery (SILS)にて手術を施行した.術中所見では,Treitz靱帯から40cmの空腸に重積を認め,Hutchinson手技にて整復を行った.内腔に固い腫瘤を認めたため腸壁切開すると,胃内から空腸まで連続する毛髪塊を認めた.上部消化管内視鏡による摘出は困難であり,胃壁を切開し巨大胃石を摘出した.術後経過は良好であった.

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© 2019 日本臨床外科学会
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