2019 年 80 巻 8 号 p. 1508-1512
腹腔鏡下大腸癌手術後の門脈血栓症は稀であり,抗凝固療薬の選択や投与期間の基準はない.腹腔鏡直腸癌手術後の門脈血栓症に対し,ダナパロイドナトリウムが奏効した症例を報告する.症例は59歳,男性.下部直腸癌T1bN0M0,cStage Iに対し腹腔鏡下括約筋間切除術と回腸人工肛門造設術を行った.退院後の術後29日目の血液検査で肝機能障害を認め,造影CT検査で門脈血栓を認めた.ダナパロイドナトリウムを投与し2週間で血栓は消失した.ワーファリンによる維持療法で血栓再燃はない.腹腔鏡手術での腹腔内圧上昇,高CO2血症,頭低位による門脈血流低下が原因と推察された.腹腔鏡手術後の門脈血栓症診療の一助となると考える.