2019 年 80 巻 8 号 p. 1501-1507
症例は87歳,女性.検診にて便潜血陽性となり,大腸内視鏡検査にて横行結腸脾彎曲部に2/3周性の2型腫瘍を認め,生検にて低分化腺癌の診断に至った.CT検査ではリンパ節転移や遠隔転移を認めなかったが,原発巣は造影効果を伴う不整な壁肥厚や漿膜面に不整な凹凸を認め,深達度SS以深と診断した.開腹による横行結腸部分切除を施行した.切除標本では腫瘍が存在したと思われる部位に潰瘍を認め,術前検査で認められたような2型腫瘍は存在しなかった.病理検査では潰瘍部に高度の炎症性細胞浸潤や線維化を認めたが,癌細胞は検出されなかった.術後1カ月半で大腸内視鏡検査を行ったが,腫瘍の遺残は認められず,術後4年半経過したが再発徴候は認めていない.生検検体の免疫染色においてCD8陽性Tリンパ球の腫瘍周囲への浸潤を認めたことから,腫瘍消失の機序として腫瘍免疫の関与を推定した.