2019 年 80 巻 9 号 p. 1598-1602
症例は68歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に受診した.CT検査で左乳房に55mm大の腫瘤と左腋窩リンパ節の腫大を認めた.また,右乳房にも15mm大の腫瘤を認めた.両側乳房腫瘤に対し針生検を施行し,同時性両側乳癌と診断した.血清Ca値(12.3mg/dl)が高値であったがPET-CT検査では骨を含め遠隔転移は認めず,PTHrPが18.8pmol/lと上昇していたことから,humoral hypercalcemia of malignancy (HHM)を伴う同時性両側乳癌と最終診断した.血清Ca値をコントロール後に両側乳癌に対する根治術を施行した.術後は血清Ca値・PTHrP値の上昇は認めず,現在術後6カ月であるが明らかな再発所見を認めていない.高カルシウム血症を伴う進行乳癌を認めた際は,骨転移陰性のHHMの可能性も念頭に診療にあたる必要があり,根治切除可能であれば原発巣切除が有用である.