2020 年 81 巻 1 号 p. 72-77
症例は44歳の女性.腹部膨満感の精査のCTで15cm大の左副腎腫瘍を認めた.手術にて摘出し副腎皮質癌Stage IIと診断した.術後1年で肝・肺転移再発しMitotane投与を開始した.肝転移の増大に対し術後3年で肝後区域切除を行った.その1年後には残肝に多発再発した.多血性腫瘍であったため肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行うと,1箇所を残して他の病変は消失した.残存病変に肝部分切除を行い肝転移の寛解を得た.初回術後5年5カ月経過し,新規の肝転移はなく肺転移もMitotaneの継続投与で増大がない.副腎皮質癌肝転移の治療にTAEが有効という報告がある一方で,単独では局所制御が困難な場合も多い.経過を慎重に判断し適切な段階で外科切除を追加することで,長期生存を得られる可能性があると考えられた.