日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下ヘルニア根治術を行った直接型の外鼠径ヘルニア嵌頓の1例
服部 晋明小山 幸法平良 済桃原 侑利嶋田 徳光金澤 旭宣
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2020 年 81 巻 2 号 p. 394-398

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抄録

鼠径(部)ヘルニアの分類において,一般的に外鼠径ヘルニア=間接ヘルニア,内鼠径ヘルニア=直接ヘルニアと認識されている.しかし,本来ヘルニア門の位置(内,外)と逸脱経路(直接,間接)は別の概念の分類様式である.今回われわれは下腹壁動静脈外側に内鼠径輪とは別のヘルニア門を持ち,かつ横筋筋膜の破壊を伴って逸脱する鼠径部ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は75歳の男性.左下腹部痛にて当院を紹介受診.CT等にて左鼠径ヘルニア嵌頓として緊急手術を行った.鏡視下に確認すると下腹壁動脈の外側にヘルニア門を認め,小腸のRichter型嵌頓を認めた.嵌頓をきたしたヘルニアとは別に内鼠径輪をヘルニア門とするde novo 型I型のヘルニアの合併も認め,併せて鏡視下にポリプロピレンメッシュにて修復を行った.本症例は日本ヘルニア学会の分類によるとV型(分類不能)と分類されるが,病態としては「直接型の外鼠径ヘルニア」とも呼べるまれな疾患であると考えられた.

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