日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療で術後21年生存中の肝転移・腹膜播種再発した胸腺腫の1例
西脇 由朗綿引 麻那高木 徹原 貴信大菊 正人田村 浩章岡和田 健敏森 弘樹
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キーワード: 胸腺腫, 肝転移, 腹膜播種
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2020 年 81 巻 3 号 p. 435-444

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抄録

症例は53歳時に胸腺腫に対し拡大胸腺全摘術を受けた女性である.胸腺腫WHO組織分類のType B3+B2と診断された.9年後に肝腫瘍が見つかり肝左葉切除術を施行した.その6年後に残肝に再発したが,化学療法,放射線照射を行い,腫瘍は消失した.さらに,2年後に右卵巣腫瘍の疑いで手術を施行したところ,切除困難で生検から胸腺腫の腹膜播種(Type B3)と診断された.放射線照射により腫瘍は一旦消失するも,その2年後に別の場所に腹膜播種さらには肝転移が出現した.放射線治療が著効したが腹膜播種は残り,その後は多剤併用の化学療法を継続している.原発巣切除後21年,肝転移巣切除後12年が経過している.胸腺腫肝転移切除例の報告は極めて少なく,また腹膜播種巣への放射線照射の報告は皆無である.胸腺腫遠隔転移例でも積極的に外科的切除を行い,放射線療法の効果も高いので多剤併用化学療法も含めた集学的治療に努めることで長期生存につながる可能性がある.

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