2021 年 82 巻 1 号 p. 132-136
症例は89歳の女性で,嘔吐と腹痛を主訴に近医より紹介された.4年前に直腸癌に対し,当院で腹腔鏡下Hartmann手術(横行結腸単孔式)を施行した.受診時のストーマ色調はやや不良であった.造影CTを施行したところ傍ストーマヘルニアを認めたが,明らかな造影不良域を認めなかった.息止め不良で脱出腸管が何か,同定することができなかった.経過観察目的にて入院としたが症状は改善せず,2日後にストーマが壊死状態となったため緊急手術を行った.ヘルニア内容はTreitz靱帯から70~90cm肛門側の空腸で壊死を伴っていた.また,ストーマ腸管はヘルニア門の末梢側で壊死していた.小腸部分切除・吻合術,人工肛門閉鎖術,横行結腸単孔式人工肛門再造設術を施行した.傍ストーマヘルニアから絞扼性腸閉塞およびストーマ壊死に至ることは非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.