ウイルス
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原著
ゲタウイルスを用いたヒトインターフェロン測定の試み
小木曽 すばる白井 淳資土屋 佳紀本多 英一
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2005 年 55 巻 2 号 p. 317-326

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抄録

 インターフェロン(IFN)の抗ウイルス作用を指標とした生物活性の測定は,感度が高く抗ウイルス活性を直接反映するため,従来用いられてきた測定法である.しかし測定に使用されるウイルスは水疱性口炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus: VSV)に代表されるような,わが国では重要な海外病病原体や,シンドビスウイルスのようにヒトに重篤な感染症を起こす病原体であるため,IFNの抗ウイルス活性を測定する場合はその安全性に配慮する必要がある.そこで,家畜や人に対して危険性の少ない国内病病原体のゲタウイルスを用いたIFNの抗ウイルス活性の測定を50%CPE抑制-クリスタルバイオレット染色法を用いて検討した.ヒトIFN-αの測定では,FL細胞(ヒト羊膜由来株化細胞)を用いると,ゲタウイルスを使用したIFNの測定感度がVSVを使用した場合よりも高く,測定した製品に記載された力価と同程度の測定感度を示した.単層になったFL細胞にIFN処理する単層処理法で測定したIFN力価が,IFN処理と細胞培養を同時に行うまき込み法で測定したIFN力価に比べ高かった.このことから,ゲタウイルスを使用した単層処理法を用いれば,少量のヒトIFNの検出が可能であることが示唆された.MDBK細胞を抗ウイルス活性の測定に用いた場合,IFNの測定感度はVSVの方がゲタウイルスを使用した場合よりも高感度であったが,測定に使用する細胞数およびウイルス力価を調製すればゲタウイルスを使用した場合でも,VSVを用いた場合と同程度のIFN力価を示した.これらの結果より,ヒトIFNの測定にはゲタウイルスが使用可能であることが示された.

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© 2005 日本ウイルス学会
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