2021 年 82 巻 2 号 p. 466-473
症例は30歳,女性.5カ月前に突然の腹痛を主訴に受診し,胃小彎側を主座とする非外傷性の腹腔内血腫と診断した.血腫は1カ月で消退傾向となり経過観察の方針とした.今回,同様の症状で受診し,腹腔内血腫の再発と診断して入院となった.腹部造影CTでは胃小彎側に高吸収域を伴う3cmの腫瘤性病変を認めたが,造影剤の血管外漏出像は認めず.腹部血管造影検査では血管病変は認めなかったが,右胃動脈は描出されなかった.繰り返す出血は右胃動脈領域の血管病変や腫瘍性病変が原因と考え,腹腔鏡下での切除を行うこととした.術中所見では小網からの血管茎の先端に鶉卵大の腫瘤性病変を認め,同部を責任病変と考え切除した.病理組織学的検査では病変部に異常血管構造の増生と出血の痕跡を認め,小網動静脈奇形と診断した.非外傷性の腹腔内出血では稀ではあるが腹腔内動静脈奇形を念頭に置き,診断的治療として低侵襲な腹腔鏡手術も考慮すべきである.