日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
針生検にて未分化癌を疑い切除した微少浸潤型甲状腺濾胞癌の1例
村山 大輔大久保 陽一郎林 宏行戸田 宗治松井 愛唯安川 美緒岡本 咲岩崎 博幸
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 5 号 p. 859-863

詳細
抄録

症例は58歳,男性.急な左頸部腫脹を主訴に前医を受診し,甲状腺未分化癌の疑いで当科へ紹介.甲状腺左葉全体に弾性硬,境界不明瞭な腫瘤を触知.血液生化学検査ではthyroglobulin 4,970ng/mLと上昇.超音波検査では甲状腺左葉に68mm大の境界不明瞭,不均一な低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは腫瘤は不均一に造影され,両側頸部リンパ節腫大を認めた.針生検にて核小体明瞭な短紡錘形細胞増生を認め,Ki-67 index 50%以上,分裂像6/10HPFs,壊死を認め,甲状腺未分化癌(T3aN1bM0,Stage IV B)と診断し,甲状腺全摘,気管周囲郭清および左#6サンプリングを施行.切除検体では腫瘍の割面は嚢胞状で,内部には出血壊死部が8割を占め,梗塞や循環障害を認めた.腫瘍辺縁では濾胞構造が確認され,濾胞性腫瘍,一部被膜浸潤を認め,微少浸潤型濾胞癌と診断した(pT3aN0M0,Stage II).術前にみられた腫瘍辺縁の紡錘形細胞は,炎症細胞浸潤や肉芽腫を伴い,反応性変化と判断した.稀な診断過程と考えられ,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top