2021 年 82 巻 5 号 p. 864-867
症例は56歳,女性.検診で右乳腺腫瘤を指摘された.マンモグラフィで右乳房U・Oに楕円形,辺縁微細鋸歯状,高濃度腫瘤を認め,超音波では境界明瞭粗造,内部不均一な低エコー腫瘤を認めた.針生検で異型を伴う紡錘形細胞が充実性胞巣状や索状,シート状構造を示し浸潤性に密に増殖しており化生癌を疑ったが,反応性病変も鑑別に挙がった.悪性の可能性を否定できず,右乳房温存術+センチネルリンパ節生検を施行した.術後病理所見では核小体の目立つ異型細胞が重層扁平上皮様構造と腺管構造の混在を形成し浸潤性に増生しておりlow-grade adenosquamous carcinoma(LGASC)と診断した.LGASCの頻度は0.5~1%と稀な疾患であり,画像と病理所見において診断基準は未だ確立しておらず,若干の文献的考察を加え報告する.