症例は69歳の男性で,急性発症の腹痛を主訴に当院へ救急搬送された.腹部CTにて門脈(以下PVと略)本幹,上腸間膜静脈(以下SMVと略)の血栓による完全閉塞を認め,一部小腸には造影不良も認められた.上腸間膜静脈・門脈血栓症(SMV/PV thrombosis:以下SMV/PVTと略)による腸管梗塞と考えられ,試験開腹術および血栓除去術を行った.術後,抗凝固療法を行ったところ,腸管血流は改善し,血栓は退縮した.プロテインS(PS)活性が17%と低下しており,プロテインS欠乏症が血栓形成に寄与したと考えられた.PS欠乏症に起因するSMV/PVTは極めて稀で,腸管壊死をきたすことから致死率が高いとされている.自験例では早期の血栓除去術により腸管切除を回避することができ,良好な経過を辿ったと考えられたため報告する.