日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸憩室に形成された真性腸石の落下による腸閉塞の1例
成田 丈格山田 純北條 大輔新海 宏
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2021 年 82 巻 8 号 p. 1526-1530

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抄録

症例は65歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に受診となった.CTで上部空腸に異物を認め,それによる腸閉塞が疑われた.胃管挿入で経過観察としたところ,CTで異物が肛門側へ移動したため,異物の確認目的に小腸内視鏡を施行した.Treitz靱帯から150cmの空腸に腸石を認め,これが腸閉塞の原因であったと判明したが,内視鏡的に破砕できず,手術の方針となった.開腹すると小腸内視鏡で確認した位置に腸石が嵌頓しており,腸切開して腸石を摘出した.腸石は5.0×4.5×4.5cm大であり,成分分析で胆汁酸腸石と判明した.以前から十二指腸憩室を指摘されており,過去のCTで十二指腸憩室内に腸石と考えられる陰影を認めたが,腸閉塞をきたした際のCTでは十二指腸憩室内の陰影は消失しており,腸石の落下による腸閉塞と考えられた.胆石落下による腸閉塞の報告は散見されるが,十二指腸憩室に形成された真性腸石の落下による腸閉塞の報告は極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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