2021 年 82 巻 8 号 p. 1550-1558
症例は65歳,男性.2020年10月に血便を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査にて直腸S状部に腫瘤性病変を認め,同月,当院内科に紹介となった.精査の結果,直腸S状部癌の診断となり,手術目的で外科に紹介された.術前CTにて原発巣から連続して下腸管膜静脈内に進展する5cmの腫瘍塞栓もしくは血栓形成を認めた.遠隔臓器に転移を認めず,UICC TNM Classification System (8th Edition),Stage III Bの術前診断で,11月に腹腔鏡下直腸前方切除術+D3リンパ節郭清術を施行した.術後の経過は順調であり,退院の運びとなった.術後の病理検査でも同様にStage III Bの診断であり,術前より指摘されていた下腸間膜静脈内の病変は腫瘍塞栓の診断であった.現在,mFOLFOX6による術後補助化学療法を施行しているが,再発なく経過している.