2021 年 82 巻 8 号 p. 1588-1593
症例は82歳,男性.両側内鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術を実施した.術翌日に自宅退院したが,術後6日目に心窩部痛を主訴に当科外来を受診した.画像検査で腸閉塞の診断となり再入院となった.腹膜縫合部の離開に伴う腸閉塞を考え,同日イレウス管を留置し保存的加療を開始した.腸閉塞症状は速やかに改善し,イレウス管を抜去し経口摂取を開始した.腸閉塞は再燃無く経過したが,腹膜縫合部の離開の可能性を十分に説明した上で待機的に審査腹腔鏡を実施した.腹膜縫合部の離開を確認し,腹腔内操作で離開部を単純縫合閉鎖した.再手術翌日より食事を再開し,その後も大きな合併症なく経過し再手術後6日目に自宅退院となった.腹腔鏡下ヘルニア修復術後に発症した腸閉塞は,腹膜縫合部の離開の可能性を念頭に置いて治療にあたる必要がある.保存的加療を先行し,できるだけ早期の手術を検討することが重要であると考えた.