2022 年 83 巻 1 号 p. 129-135
症例は61歳,男性.数カ月前から右下肢腫脹,腰痛があり,転倒を契機に歩行困難となり救急搬入された.右鼠径部に鶏卵大の腫瘤を触知し,肛門周囲皮膚は放射状に硬化し発赤を伴っていた.CTでは右鼠径部から外腸骨動脈・傍大動脈リンパ節の腫大および両側肺に複数の小結節性病変を認めたが,他に腫瘤性病変は指摘できなかった.右鼠径部リンパ節生検では神経内分泌細胞癌(NEC) small cell type 70%,腺癌(sig>muc) 30%と診断され,Ki-67 labeling indexは80%以上であった.下部消化管内視鏡では肛門の小隆起病変の生検でsig/mucが検出された.肛門周囲皮膚の発赤病変の生検ではpagetoid spread(PS)と診断され,NECと腺癌(muc)が確認された.これらより,PSを伴う肛門管腺内分泌細胞癌,リンパ節転移および肺転移と診断した.CPT-11+CDDP(IP)療法を施行し,腫大リンパ節は縮小し右下肢浮腫は軽減した.著明なリンパ節転移とPSを伴う肛門管腺内分泌細胞癌に対して,IP療法で寛解を得た症例を経験した.