日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った肝右葉形成不全症に伴う胆嚢炎の1例
田中 悠介岡田 正夫佐近 雅宏下平 悠介関 仁誌
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2022 年 83 巻 9 号 p. 1634-1637

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抄録

肝右葉萎縮は稀な異常であり,肝右葉形成不全症による一次的な原因と門脈や胆管系の狭窄や閉塞による二次的な原因によるものがある.肝右葉形成不全症はしばしば胆嚢の位置異常を合併し,胆嚢管の捻れや圧迫により,胆石症を生じやすいとされている.また,位置異常による術野展開に困難が予想されるため,肝右葉形成不全症に合併した胆石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は禁忌と考えられていた.症例は72歳,男性.胆嚢炎の手術目的に当院へ紹介となった.術前CTで肝右葉の高度萎縮を認め,それに伴い胆嚢の腹腔内における位置が背側方向へ偏位していた.また,肝左葉が代償性に腫大し,術中視野の確保が困難となることが予想された.術前の血液検査・造影CT・DIC-CTにより,自験例の肝右葉高度萎縮の原因は,肝右葉形成不全症によるものと考えられた.今回われわれは,手術体位を左半側臥位とすることで術中視野を確保し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を安全に施行しえた.

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