2023 年 84 巻 12 号 p. 1900-1906
症例は17歳,男性.2歳時に糖原病Ia型と診断され小児科にて加療中であったが,17歳時にCTにて肝S6に8cm大の腫瘍と両葉に多発する結節性病変を指摘された.糖原病Ia型に合併した肝細胞腺腫が強く疑われ,S6の病変については悪性化や破裂のリスクを回避するため切除の適応と判断された.開腹時,肝臓は著明に腫大し脂肪肝の様相を呈し,肝下面に突出する手拳大の弾性軟な腫瘍を認め,肝部分切除術を施行した.術後は糖原病Ia型に起因する乳酸アシドーシスや低血糖発作に対する厳格な血糖管理のため2日間のICU管理を要したが,その後は良好に経過した.病理組織学的検査結果では悪性所見を認めず,肝細胞腺腫に矛盾しない所見であった.術後1年6カ月現在,残存する肝細胞腺腫の増大を認めており,肝移植を提案中である.糖原病Ia型に合併した肝細胞腺腫に対しては肝移植を念頭に置き,悪性化や破裂を考慮しつつ個々に応じた治療を行う必要がある.