2023 年 84 巻 4 号 p. 627-632
79歳,男性.不整脈と心機能低下の精査目的に施行された冠動脈造影検査にて左前下行枝に有意狭窄を認めたため,肝動脈形成術として冠動脈ステント留置術が施行された.術直後より心室細動が出現したため,胸骨圧迫と電気的除細動を施行し洞調律に復帰したが,血圧低値が遷延し貧血の進行を認めた.造影CTにて肝外側区域に存在していた肝囊胞の縮小と脾臓や胃の周囲の血腫を認めたため,肝囊胞破裂出血が疑われた.その後も補液,輸血,循環作動薬投与下でもショック状態が持続し,4時間後のCTでも腹腔内出血と貧血の進行を認めたため,出血源同定と止血目的に腹部血管造影検査を施行した.肝外側区域の肝囊胞内に血管外漏出を認めたため,左肝動脈末梢レベルでの選択的肝動脈塞栓による止血術を行った.以後貧血の進行や囊胞内出血,腹腔内血腫の増悪なく,合併症を認めることなく処置後25日目に退院となった.