臨床外科医がいつか遭遇するかもしれない故に覚えておきたい希少なヘルニアを概説した.前号の前編では「I.鼠径部およびその周辺のヘルニア」「II.腹部の内ヘルニア」について述べたが,後編では「III.腹壁のヘルニア」「IV.横隔膜のヘルニア」での希少例を取り上げた.多くの症例での共通点として,以下の3点を挙げる.1.診断にはCTが有用で希少疾患ならではの典型的な画像が存在する.各疾患について代表的・教育的な画像を呈示した.2.治療は緊急性の高いものと待機的に可能なものがあり,腹腔鏡・胸腔鏡手術例が増加している.3.ヘルニア門の修復にメッシュ使用の可否判断は重要である.希少な疾患では外科医が初めて経験する手術も多く,疾患の知識と臨床経験から術中臨機応変に対応できる力が求められる.最後に,「V.ヘルニアに関連する希少な合併症」をまとめた.ヘルニアは良性疾患であり,術後の疼痛や再発を可能な限り減らしQOLを維持する治療が望まれる.