2023 年 84 巻 5 号 p. 779-783
症例は49歳,男性.腹痛を主訴に当院を受診し,造影CTでS状結腸に複数の憩室と周囲脂肪織濃度上昇を伴う不整な壁肥厚を認め,近傍に膿瘍形成を伴っていた.また,左尿管は病変部で途絶しており,左水腎症を認めた.S状結腸憩室穿通による腹腔内膿瘍の診断に至り,緊急で人工肛門造設術を施行し,待機的腹腔鏡下手術を施行する方針とした.手術は,左尿管に蛍光尿管カテーテルを留置し,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.後腹膜側は高度な線維化を伴っていたため,尿管を視認することは困難であったが,近赤外光観察を併用することで尿管の走行が明瞭に描出され,確実に尿管を温存することが可能であった.尿管損傷が危惧される症例では,予防的に尿管カテーテルが留置されてきたが,視認性に乏しいことが課題であった.近年,視認性をより向上させるデバイスとして蛍光尿管カテーテルが注目されている.自験例の手術所見に文献的考察を加えて報告する.