2023 年 84 巻 8 号 p. 1267-1271
症例は92歳,女性.腹痛で受診し,CTで回腸末端に造影効果を伴う腫瘤性病変と口側の腸管拡張を認めた.小腸腫瘍による閉塞性腸閉塞の診断とし,開腹回盲部切除術を施行した.摘出標本では,回腸末端から7cmに漿膜の引き連れによる狭窄と,その肛門側に敷石状の粘膜隆起を認めたが,癌腫を思わせるような潰瘍性病変は認めなかった.病理組織学的には粘膜深部を主体とする高度のリンパ球,IgG4陽性形質細胞の浸潤と花筵状線維化を認めた.免疫染色では,IgG4陽性細胞を強拡大視野で32個認め,IgG4陽性細胞/IgG陽性細胞比は51.6%であった.術後に測定した血清IgG4値は23.8mg/dlと基準値範囲内であった.IgG4関連疾患の診断基準では準確診群(probable)となるものの,他の腫瘍性病変は否定的であり,IgG4関連小腸偽腫瘍が強く疑われた.IgG4関連疾患において小腸に病変を生じる症例は非常に稀であり,既報告例4例に自験例を加えた5症例についての検討を加えて報告する.