2023 年 84 巻 8 号 p. 1293-1300
Fournier壊疽は外陰部に生じる急性壊死性筋膜炎で急激な経過をたどり,早期に適切な治療を施さなければ全身状態が急激に悪化し予後不良になる.多くは痔瘻,肛門周囲膿瘍,泌尿器科疾患が原因となるといわれており,直腸癌を原因として生ずることは比較的稀である.
今回われわれは,直腸癌が原因で発症したFournier症候群の2例を経験した.両症例とも臀部から陰嚢に至る広範な気腫を伴う蜂窩織炎と膿瘍を形成しており,抗菌薬投与,ドレナージ,デブリードマンを行ったが感染コントロールがつかず,準緊急で人工肛門造設を行い感染のコントロールがついたところで低位前方切除術を行い,治癒切除することができた.直腸癌によるFournier壊疽の治療では,腫瘍学的治療介入までの時間が予後に影響すると考えられる.直腸癌が原因で発症した本邦での報告例は2000年~2022年の間で29例であった.自験例2例を含めた31例につき,若干の文献的考察を加えて報告する.