2023 年 84 巻 8 号 p. 1301-1307
患者は57歳,男性.Budd-Chiari症候群による非代償性肝硬変に対して46歳時に生体肝移植術後.慢性期に門脈狭窄に起因する門脈圧亢進症に伴う腸炎や肝性脳症を繰り返していたが,肝不全兆候はなく外来フォロー中であった.今回,間質性肺炎急性増悪に対しステロイド加療中にClostridium difficile腸炎を併発,メトロニダゾール内服にて軽快したが,腸炎症状は遷延していたためメトロニダゾール1g/日の内服を継続していた.約2カ月後に内服服薬管理困難,構音障害,手指振戦が出現し,症状発現から1週間後に意識障害の増悪を認め受診.頭部MRIで両側対称性に小脳歯状核の高信号域を確認,メトロニダゾール誘発性脳症と診断した.速やかにメトロニダゾールを中止したことで,徐々に意識レベルは改善した.メトロニダゾール誘発性脳症の発症は稀であり,肝移植・肝障害に関連した報告例は少なく,過去の文献的考察を加えて報告する.