2023 年 84 巻 8 号 p. 1308-1313
今回,われわれは肝細胞癌治療経過中に血行性大腸転移をきたし,外科的切除を施行した稀な1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.肝細胞癌に対して肝外側区域切除術後,10カ月目に肝S4肝内再発と腹膜播種再発の診断となり,経皮的ラジオ波焼灼療法と播種摘出術を施行した.さらに,9カ月後に播種再発があり,再度播種摘出術を施行した.レンバチニブを投薬したが,腹膜播種再発を認めた.ソラフェニブに変更すると,播種結節は縮小傾向となり1年2カ月著変を認めなかった.CA19-9上昇あり,精査でS状結腸腫瘍を認めた.生検で肝細胞癌の転移と診断し,S状結腸切除術と播種摘出術を施行した.大腸転移と播種結節の部位は肉眼的に離れており,漿膜側への腫瘍浸潤は認められなかった.また,病理所見も同様であったことから,肝細胞癌の血行性大腸転移と診断した.現在,無再発経過観察中である.