日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下肝部分切除術を行った重症COPD併存の肝細胞癌の1例
松浦 博和星川 真有美安藤 睦福田 開人早阪 誠京田 有介
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2025 年 86 巻 12 号 p. 1633-1638

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抄録

症例は79歳,男性.C型肝炎の治療歴があり,肝S4に径2cmの肝細胞癌を指摘された.術前検査で,慢性閉塞性肺疾患による高度閉塞性障害を認めた.腫瘍の位置や大きさからは腹腔鏡下肝部分切除の適応であったが,低肺機能による全身麻酔や気腹のリスクも懸念され,各科と十分な検討の後,腹腔鏡手術を行う方針とした.

全身麻酔・硬膜外麻酔下,開脚仰臥位で腹腔鏡下肝S4部分切除術を施行した(手術時間113分,出血量少量).術後第7病日に合併症なく退院.術後病理診断で,中分化型肝細胞癌(pT1N0M0 pStage I)と診断された.

腹腔鏡手術は創が小さく,開腹手術に比して術後疼痛軽減や入院期間短縮などの利点が報告されている.高齢者や呼吸器疾患併存患者では,気腹による循環動態への影響も懸念され,呼吸機能障害症例に対する腹腔鏡手術の適応基準は明確には定まっていない.今回,重症慢性閉塞性肺疾患を併存した高齢者において,腹腔鏡下肝切除術を安全に施行しえたので,文献的考察を加えて報告する.

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