2025 年 86 巻 2 号 p. 234-239
メトトレキサート(methotrexate:MTX)は関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者に対する治療薬であるが,稀にリンパ増殖性疾患を合併することがあり「関節リウマチ治療中に発生するリンパ増殖性疾患/リンパ腫(RA-lymphoproliferative disorder:RA-LPD)」と呼ばれている.今回われわれは,乳癌患者のセンチネルリンパ節(SN)にRA-LPDを偶発的に認めた症例を経験した.症例は79歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当科を紹介受診した.RAに対して近医よりMTXを投与されていた.精査で左乳癌T2N0M0 cStage IIAの診断となり,左乳房部分切除術とSN生検を施行した.SNに乳癌の転移は見られなかったが,1つのSNに濾胞様の増殖が見られ,濾胞性リンパ腫と診断された.RA患者のMTX治療中に発生したリンパ腫であることから,RA-LPDの可能性があると診断された.MTX内服を中止し現在近医で経過観察中であり,MTX-LPDの増悪は認めていない.RA加療中の乳癌患者において,乳癌病期を適切に判断するためにはRA-LPDを念頭に置く必要がある.