日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断が困難だった直径14cmの囊胞性のS状結腸癌肝転移の1例
加納 拓林 洋毅髙舘 達之手島 伸島村 弘宗岡 直美
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2025 年 86 巻 2 号 p. 289-295

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抄録

症例は47歳,女性.突然の右側胸部痛で救急外来を受診し,肝右葉の巨大囊胞性病変の破裂の疑いで緊急入院となった.精査の結果,巨大肝囊胞性病変の他にS状結腸癌を認めた.肝の囊胞性病変は大腸癌肝転移としては非典型的で,肝囊胞腺癌や卵巣癌肝転移などを鑑別に挙げた.腹腔鏡下S状結腸切除を行ったのちに肝切除を行う方針とした.

S状結腸切除後に肝囊胞性病変は増大傾向を示し,腫瘍が肝S4や尾状葉に進展していたため,肝S4を一部切除するように肝右葉尾状葉切除を行い,術後経過は良好であった.病理組織検査で大腸癌肝転移と診断した.腫瘍が急速に増大したため腫瘍内部の血流障害が起き,腫瘍の壊死によって液体が貯留し,囊胞性の画像所見を呈したと考えられた.

囊胞性の大腸癌肝転移は非常に稀である.術前診断が困難であった囊胞性の大腸癌肝転移の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.

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