2025 年 86 巻 2 号 p. 328-332
症例は85歳,女性.右大腿部痛を主訴に救急搬送となった.右閉鎖孔ヘルニア嵌頓に伴う腸閉塞と診断し,エコーガイド下整復を試みたが還納できず,緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に観察すると右閉鎖孔ヘルニア嵌頓に加え,左閉鎖孔ヘルニア・両側大腿ヘルニアの併存を認めた.嵌頓は解除可能であり腸管の壊死も認めなかったが,直近に肺炎を罹患し,糖尿病コントロールが不良であったため,ヘルニア修復は全身状態改善後に二期的に施行する方針とした.12日後に両側ヘルニアに対して前方アプローチでのクーゲルパッチを用いた修復術を施行し,術後経過は良好であった.閉鎖孔ヘルニアには併存ヘルニアが多く,高齢で合併症を有している症例も多い.手術負担の軽減や,安全に手術を行うために,腹腔鏡での嵌頓解除と併存ヘルニアの観察後に二期的手術を行う方針は,閉鎖孔ヘルニア嵌頓症例に対する有効な選択肢になると考えられた.