2025 年 86 巻 6 号 p. 758-763
症例は62歳,女性.閉塞性直腸癌(cT4aN1bM0 Stage IIIB)診断時の腹部造影CTで,小腸に造影効果を伴う40mmの腫瘤を認めた.直腸にステントを留置したが,開存不良のため腹腔鏡下回腸人工肛門造設術を施行した.同時に小腸腫瘤に対し小腸部分切除術を施行した.病理組織検査では,類円形腫大核を持つ腫瘍細胞がpseudovascular spaceを形成しながら増殖し,間質に多核巨細胞が散在していた.免疫組織化学染色でCD34,bcl-2およびSTAT6陽性で,遺伝子パネル検査でNAB2exon6-STAT6exon17融合遺伝子が検出されたため,小腸solitary fibrous tumor(SFT)と診断した.
小腸SFTの切除例は稀であり,腹腔鏡下に切除した報告はないが,腫瘍が小さい場合には低侵襲な腹腔鏡下切除が有用である.また,本症例は非典型的な病理組織像を示すSFTに遺伝子検査を行った貴重な症例であり,遺伝学的考察も含めて報告する.