2025 年 86 巻 7 号 p. 922-927
症例は54歳の女性.右尿管結石で救急外来を受診時に,CTで骨盤内腫瘤を指摘された.造影CTでは骨盤内右側に石灰化を伴い背側に造影効果を伴う45mm大の境界明瞭な腫瘤を認めた.右卵巣腫瘍との鑑別を要したが,右卵巣静脈との交通がなく,上腸間膜動静脈との交通があることから小腸間膜由来と診断し,平滑筋腫やGISTを鑑別に切除の方針とした.腫瘍は小腸間膜原発であり,辺縁動脈の温存が困難であったため,腹腔鏡下小腸部分切除術を施行し病理組織学的に神経鞘腫と診断された.術後経過は良好であり,術後1年7カ月現在再発を認めていない.神経鞘腫はリンパ節転移の報告はなく,被膜を含めた腫瘍摘出が原則である.悪性を疑う場合や,腫瘍の局在により腸管合併切除を要する.悪性例の報告もあるため,摘出時の被膜損傷には注意が必要である.小腸間膜原発神経鞘腫は非常にまれな疾患であり,腹腔鏡下切除術を施行した1例を経験したため報告する.