現在、 我国の疾病構造は、 生活習慣病、 高齢者疾患が中心であるが、 これに加えてストレス病、 うつ病を含めた心の病が増えている。 この状況は今後さらに深刻化することが予測されることから、 これまで以上に健康維持・増進、 予防、 未病治、 ケアへの取り組みが求められている。 このように変わりゆく疾病構造と社会の動向を見据えると、 医療保障だけでは医療の諸問題を解決することに限界がある。 このことから健康保障を含めた医療システムへの転換として社会モデルをも組み込んだ医療の推進に期待がよせられている。 では、 そのような医療の動向において、 鍼灸医療はどうのように貢献することが出来るのかである。 鍼灸医療は、 そもそも 「未病治」 を最高の医療行動目標とし、 「養生」 による健康維持・増進を推奨してきた。 その治効原理は、 人体の自己制御システム系の最大活用であり、 いわば人体の再生可能エネルギーを用いた自然治癒力による。 このチカラを健康維持・増進、 予防、 未病治、 治療、 ケアそれぞれの目的に応じて発揮させようとしてきたのが鍼灸医療である。 すなわち、 社会モデルから医療モデルまでの広範囲な医療を実践してきたのである。 しかし、 已病治はそう簡単ではないとし、 最も重要視したのが健康維持・増進と未病治であった。 このことが、 今、 改めて評価されようとしている。 これからの社会が必要とする、 社会から必要とされる医療が、 社会モデルをも組み込んだ医療とすれば、 鍼灸医療は大いに貢献することができる。 このように鍼灸医療は時代を超えて変わることのない医療の要諦に根差した素晴らしい医療であり、 その役割は現在も、 未来においても健康維持・増進と未病治、 そしてケアに尽きる。