2023 年 73 巻 2 号 p. 100-111
腰痛は世界の疾病負荷研究では1位に位置付けられており、 世界中の人々が悩まされている症状の一つである。 腰痛の多くは非特異的腰痛とされるが、 その分類方法について統一見解は定められていない。 また、 腰痛の解釈モデルに生物心理社会モデルが存在する。 つまり、 腰痛の分類と心理的要因も考慮しつつ腰痛に対する鍼治療の効果を検証していかなければならならない。 本シンポジウムでは、 赤坂氏、 井上氏、 菊池氏、 近藤氏にご講演をいただいた。 赤坂氏は、 理学療法士の視点から、 特異的腰痛や非特異的腰痛、 また、 非特異的腰痛のうち椎間関節性腰痛や筋筋膜性腰痛、 椎間板性腰痛などの構造解剖学的な腰痛のClassificationを提示し、 理学療法の効果を解説した。 井上氏は、 これまでの腰痛や腰下肢痛患者に対する鍼治療のランダム化比較試験の結果を提示し、 脊柱起立筋群などの反応点を丁寧に触診した上で刺鍼することの重要性や、 下肢症状を有する患者への神経走行上への刺鍼による効果を述べた。 菊池氏は、 鍼治療を実施した腰痛患者を動作再現性の有無で層別化した後方視的観察研究の結果を提示し、 動作再現性のある患者の方が腰痛関連QOLの改善を認めたことを報告した。 近藤氏は、 腰痛患者の心理社会的要因が鍼治療の効果にどのような影響を及ぼすのかを検証した結果、 痛みに対する破局的思考が少ないほど鍼治療の効果が大きく、 Subgrouping for Targeted Treatment Back Screening Toolのリスクが低いほど、 痛みが軽減しやすいことを報告した。 本シンポジウムの内容が、 諸氏の明日からの臨床・研究・教育の参考になれば幸いである。