全日本鍼灸学会雑誌
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症例報告
難治性不妊症患者に対する鍼治療と漢方薬の併用効果について
山本 彩子山口 智菊池 友和小内 愛堀部 豪磯部 秀之
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キーワード: 不妊, 鍼治療, 漢方薬, 体外受精
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2024 年 74 巻 3 号 p. 186-193

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抄録

【目的】IVF (in vitro fertilization) を繰り返し実施しても妊娠に至らず治療が難渋する例は多い。 こうした難治性不妊症患者を対象に、 鍼と漢方薬の併用治療が妊娠に与える影響について検討した報告は、 諸外国を併せても殆ど見当たらない。 そこで今回は、 2回以上IVFを実施しても妊娠・出産に至らなかった難治性不妊症患者5症例に対する鍼と漢方薬の併用治療効果について検討した。 【症例】症例1:40歳女性、 不妊症治療歴12カ月。 X-1年に自然妊娠したが流産した。 約半年後に体外受精を開始し、 2回目の胚移植で妊娠するも流産した。 症例2:46歳女性、 不妊治療歴36カ月。 体外受精を6回実施したが妊娠に至らなかった。 症例3:37歳女性、 不妊治療歴24カ月。 人工受精を5回、 体外受精を3回実施したが妊娠に至らなかった。 症例4:26歳女性、 不妊治療歴60カ月。 体外受精を7回実施し、 5回流産した。 症例5:38歳女性。 不妊治療歴108カ月。 長期的な不妊治療により頸肩凝りを自覚していた。 症状が増悪した為、 人工受精の開始と共に鍼治療を開始した。 【結果】症例1、 症例3、 症例4、 症例5は妊娠・出産に至った。 症例2は妊娠に至らず終診となった。 【考察・結論】難治性不妊症患者に対する鍼と漢方薬の併用治療は、 継続的に実施し全身状態を良好に維持する事で、 妊娠に期待すべき効果が得られた。

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