全日本鍼灸学会雑誌
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パネルディスカッション
救急・集中医療における鍼灸の可能性を探る
中永 士師明加島 雅之松本 淳
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2026 年 76 巻 1 号 p. 14-29

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抄録

本シンポジウムは、 本学会として初めて救急・集中医療における鍼灸をテーマに取り上げたものであり、 最前線で診療にあたっている方々に登壇をお願いした。 最初に、 中永士師明氏から、 救急・集中医療が対象とする疾患は多岐にわたり、 患者のためひとつの医療体系にこだわらず長所を活用して診療に当たっている立場が述べられた。 鍼灸治療は、 最初に加療することができることが利点とした。 そして実際の応用例として、 救急外来での急性腰痛症、 集中治療室での肺炎・呼吸不全、 敗血症、 破傷風などが示された。 鍼灸の有用性を理解してもらうための教育と啓発活動の重要性についても言及があった。 加島雅之氏は、 入院患者の約半数が救急センター経由という超急性期病院の漢方医の立場で、 常勤鍼灸師との取り組みについて発表があった。 患者が、 生命の危機を脱した後の回復の過程での消化器症状、 精神・神経症状、 運動器、 疼痛、 呼吸・循環器、 体力低下や倦怠感になどに対する鍼灸治療について述べた。 これら回復を阻む要因に対する鍼灸治療は有効なアプローチであることの言及があった。 松本淳氏は、 高次救命治療センターの集中治療患者に対する補完的治療として鍼治療を行ってきた立場から、 鍼治療は人工呼吸患者の呼吸状態に対し有用となる可能性、 せん妄の軽減効果の示唆、 意識障害患者の覚醒度や応答反応の向上に寄与していることが示唆されるとの報告があった。 鍼灸治療は、 慢性疾患を対象とするとのイメージが強い。 しかし、 本シンポジウムを通じて、 救急・集中医療における鍼灸は、 西洋医学との併用により、 患者の回復において有用である可能性が示唆されたことは大変に意義深い。

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