2019 年 39 巻 3 号 p. 253-256
食道閉鎖症/気管食道瘻根治術後に気管憩室が形成され,その後の全身麻酔時に気管チューブが憩室に陥入し換気困難となった症例を経験した.症例は7カ月の男児.食道閉鎖症/気管食道瘻根治術後に食道狭窄を認めたため,全身麻酔下で食道バルーン拡張術が予定された.全身麻酔導入後,気管挿管は容易であったが,換気困難で食道挿管と判断し抜管した.再挿管後,同様に換気困難に陥った.気管支鏡で原因検索したところ,気管後壁の憩室に気管チューブが陥入したため換気困難に陥ったと判断した.食道閉鎖症/気管食道瘻根治術後の場合,気管憩室など気道の解剖学的異常を考慮すべきであると考えられた.