日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム ─周術期管理における循環補助法─
大動脈内バルーンパンピング
金 徹
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キーワード: 心周期, 冠血流, 心仕事量
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2020 年 40 巻 5 号 p. 527-534

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抄録

大動脈内バルーンパンピングは,「心周期に合わせて大動脈内に留置したバルーンが膨張と収縮を繰り返す」という単純な作動のみの,比較的容易な手技で安全に施行できる補助循環である.その作動は“diastolic augmentation”と“systolic unloading”という用語で表現される.急性冠症候群などのために心機能が低下した症例に対して冠動脈などの主要動脈の血流増加と心仕事量の低下を得ることが大動脈内バルーンパンピング元来の目的であり,最終目標は心機能の維持と改善である.重篤な合併症の危険性はあるがその頻度は低く,安全な装置である.本稿では日本臨床麻酔学会第39回大会の講演に新しい知見を若干加え,大動脈内バルーンパンピングの基本的な事項について概説する.

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© 2020 日本臨床麻酔学会
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